神威異伝




「わ、分かってるわよ…っ」



目を乱暴に擦り、理緒が言った。


そして、理緒は小走りで荷物を肩にからいながら十夜の所まで駆けた。


理緒が目を合わせると、十夜は小さく頷く。



「んじゃ…大爺、行って来るわ」


そう十夜が言うと


「気をつけてな、十夜」


賢雄が微笑んで応えた。



「…行ってくるね、おじいちゃん」


理緒が照れくさそうに言うと


「あぁ、お前も気をつけてな…理緒」


手を振りながら賢雄が言った。




十夜と理緒の二人も手を振りながら賢雄に背を向け、歩きだした。


賢雄は二人が門をくぐり、姿が見えなくなるまで手を振り続けた―…。




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