神威異伝
「…おじいちゃん」
そう呟いて理緒は荷物を置き、賢雄の目の前まで歩いて行った。
「ありがと……おじいちゃん」
うつ向きながら小声で言った理緒の肩に、賢雄が手をのせる。
「理緒…これだけは憶えておきなさい。この村はいつでも、お前が帰って来るのを待っておる……。もちろん、儂も待っておるからな」
「……うん」
少し涙ぐんだ声で理緒が応え、顔を上げると…賢雄が声を出して笑った。
「旅立つ者がそんな顔してどうするのじゃ、理緒」
賢雄からしか見えないが、理緒は微かにだが涙ぐんでいた。