恋愛スキル


見回しながらひた歩き、奥の社まで来ていた。
ここはもともとあまり人けがない。


…やっぱり

今更遅いよね…。




引き返そうとした時。


かすかに煙草の匂いがした。


私は何故か足を止め、誘われるかの様にわずかな煙を辿って行く。


「あ…!!」


社の裏の小さな石垣に腰掛け、遠くを見つめる浅利先生の姿が、私の目に飛び込んできた。


ずっと探してた人。


逢いたかったその姿が、今、やっと目の前にいる。


私の瞳はきっと、少女の様にキラキラ輝いていたかもしれない。

心から、逢いたいと願った人だったから。





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