恋愛スキル
第2章 -先生

逢いたい-緋乃



私は境内に来ていた。

夢中で走って走って…
必死で息を整えながら辺りを見回す。


しかし、花火も終わってしまい、残っている人ももう少ない。

けれど、私は浅利先生の姿を探していた。


約束を破ったのは私の方で…

先生が私を待っている筈はない。
そんなのわかっているけれど、

だけど、私はどうしても先生に逢いたかった。


そう答えを出すには、沢山の時間をかけちゃったけど、私は家庭より先生を選んだ。


私の居場所は家にはない。

学校にもない。


私が私で居られる場所なんてどこにも存在しない。


だけど…やっと小さな光を見つけた気がしたんだ…


本当の私なんてわからない、自分がどうしたいのかすらもわからない、そんな中で、これだけはハッキリわかっていたから…

私の居場所が先生の隣りでありたいと…。




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