恋愛スキル


いつものように自転車にまたがり、清々しい風を切り走り出すと、途中一人ジャージ姿で歩く長澤を見つけた。



「よ!こんな早くから部活か?」


「はい。試合も近いんで。てか……先生は昨日行ったんですか?病院」


「ああ。随分遅くなっちゃったけどな。顔色良くて安心したよ」


俺と目を合わせず、たんたんと歩いていた長澤は、急に俺の方を振り向くと、


「俺。昨日言った事、嘘じゃないですから」


と、真剣な瞳を俺に向ける。



やっぱりか。


長澤は松浦の事が好きなんだな。



彼女が唯一、友達と呼べる奴だと思っていたけど……


少なくとも、そう思っていたのは俺だけだったようだ。




< 137 / 168 >

この作品をシェア

pagetop