恋愛スキル

――――その夜。

私は夢を見た。



先生が、眠っている私の髪をそっと撫でると、優しく額に唇を寄せる。

その瞳は何故か切なくて

「何があっても……俺を信じてくれ……」


そう静かに呟くと、先生は私の手を強く握りしめた。

握られたところが熱くて、私は思わず目を覚ます。

やっぱり夢……



だけど確かに、ほんのりと熱を帯びた手を、私はキュッと握りしめた。



先生の発したその言葉に

逸物の不安を感じながら―――


私は再び眠りに堕ちた。







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