恋愛スキル


「でも、その時の俺は、自分の気持ちに気付かない振りをしてた。幼なじみとして好きなんだって…そぅ思ってたんだ…。だけど違った…。」


「……」


「初めて同じクラスになって緋乃の孤立してる姿を見た時、俺、自分がどぅしよぅもなくムカついたんだ。緋乃を傷つけたのは間違いなく俺で…。後悔したし、お前を助けたいって本気で思った。…あの時からかな…俺には緋乃が幼なじみに見えなくなってた…。」


そっと身体を離し、彼女の瞳を見つめる。


月明かりに照らされた広い校庭に、ポツンと俺達だけが佇み、穏やかな風が流れていく。



緋乃は目を閉じ俯くと、ゆっくりと両手で俺を突き放した。



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