木蓮の涙
まさか人間をこれほど
愛しいと思うとは思いもしなかった

いや、そうではない

恐れていたのだどんなに愛し
愛おしんでも必ず訪れる別れ

失った時の何とも言えない喪失感に



一度人間を愛してしまえば

何度繰り返す

儚く脆い命を

何度見送る



愛してはいけぬ存在

ずっとそう心に決めていた

はずなのに



いつしかその純粋さに

どうしようもなく引かれていた


選べぬ運命と知っていながらも






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