コンビニラブ
ある日のこと…

店に男女が入ってきた。

どうやら、今日は二人にとって、初めてのお泊りのようで、
やって来て早々に、
歯ブラシや下着を手に取り、
それから、
そのまま店内を物色しはじめた。


(はいはい、お幸せに!)

伸治の機嫌は悪かった。


高校時代、あれだけ頑張っていたサッカーは、
これといって、関係者の目にとまることなく、
今や、サークルで楽しんでいる程度。

でも、サッカーを愛する気持ちは今も変わらない。

そして明日、(正確に言えば、すでに今日)
試合を控えていて、
コンディションを調えるため、残業はしないはずだった。

が、あと8分で1時という時、
若旦那からの、少し遅くなると連絡が入ったきり、
まだ姿を現さないことにイラついていたのだ。


「あ〜!アンちゃん!一人で表紙になってる〜!」


さっきのカップルの女の声にさえもイラっとする。


「なんか、モデルの顔の区別がつかないんだよなぁ、俺。」

「そんなの、グラビアアイドルの方が、皆、同じに見えるんですけど。」


聞こえてくる会話に、

(区別なんかつかなくていいんだよ、そんなもん!)

勝手に参加していた。


「でもホラ、可愛いくない?アンちゃん。」

「ん。まぁな。」

「この子、あたしの友達の妹の、中学の時のクラスメートなんだって!」

「遠いーなーソレ!」
< 6 / 220 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop