着せ替え人形



『真紀ちゃん』



そんなふうに呼ばれたのはいつぶりだろう。


背後から物凄く懐かしい声でそう言うのが聞こえたので、思わず勢いよく振り返る。



君は…



6年前と何も変わらない彼女がそこには立っていた。

明るい茶色の長い髪、ぱっちりした黒めがちの瞳。


甘いけど苦い思い出が、次々と鮮明に思い出されてくる。



『真紀ちゃん、久しぶりだね』



その言葉の甘美な響きに、少しだけくらくらしてしまう。


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