着せ替え人形


「あのさぁ…そのアルバム、家に着いたら見てもらえないかな」


我ながら意地の悪い性格だ。
大事な奈津子に昔思いを寄せていた女性の写真を見せるなんて。


「私なんかが見てもいいんですか…?」


少し困った顔をして彼女が言った。


「うん。
純粋にあの頃は楽しんで写真を撮れてた気がするんだよね。
だから…ちゃんと奈津子に見てほしい」


本音を言うと自分で見る勇気がないからという理由もあるけど、それは言わなかった。


納得してくれたのだろうか。


少しの沈黙があった後、奈津子はゆっくり頷いた。


「わかりました。
あとでゆっくり見させてもらいますね」


…あの頃の俺のすべては、今の奈津子の目にどのように映るのだろう。


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