おみやげ

 ガー がやがや

 車の音。人々の喧騒。
 目の前を、足早に人々が通り抜けて行く。その奥には、螺旋を描きつつ天に伸びる、6本の巨大な柱が聳え立っていた。
 私はぽかんとして、両手の上に顎を乗せつつ、目を開いて座っていた。口元から、ぽろりと何かが地面に落ちた。
 たばこ
 目で追った先には、ちびた、申し訳なさげに弱々しく火の点った煙草が転がっていた。

『懐かしいもん、見れた?』

 すぐ傍の隣から、声がした。振り返ると、ちびた煙草を銜えた八重ちゃんが、にやにやといった感じで笑っていた。
「ふあ」
 と、私は情けない声を漏らす。
 八重ちゃんは満足したように、にひひ、と笑顔を見せた。
「なんで?」
 私の、色々な思いを込めたその問いには答えずに、ふふ、と意地の悪い笑みを浮かべながら、八重ちゃんは立ち上がって背伸びをする。
『よーし、じゃあ、どっか飲みにでも行くかあ!』
「もう」
 と、私は苦笑して立ち上がった。
「流石にこれは、変人……っていうか、それすらも超越しちゃってると思うよ」
 八重ちゃんは、ん~? なんて返しながら、夜の街を歩き始めた。私もそれに続いて歩き始める。
 十二年ぶりに再会した大親友の下げるバックには、くたびれた、年代物のクマのキーホルダーがぶら下がっていた。
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ホラー・オカルト6ページ

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 「死ぬ」という最後の逃げ道を失った時、かえでは、大嫌いなこの世界で必死に、苦しみもがいて生きていかなければならないということを知る。  途方に暮れるかえでが見つけた一筋の希望とは? 初めて自分と世界に向き合ったかえでは、その先に何を見るのか。  何もかも、初めての世界に飛び込んでいかなければならない少女・少年たち。その中の一人の姿を描き出した(予定)、著者としては、少女・少年たちの心や世界のカタチを説き明かしていくミステリなつもりの純小説。

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