ピンチヒッター
「そこからは悲惨だった。

殴られたことを担任が公表して、推薦が全部なくなった。

俺だけじゃない。
他の野球部員の推薦までもな。

推薦を取り消された奴らから毎日責められたよ。

でも、何も言えなかった。

やっぱ手を出した俺が悪いからな」


「もう・・・・・・いいよ」


「この前までチヤホヤしてた奴らが、
白い眼で俺を見てきた。

友達もいなくなった。

あの頃は、もう何もかもどうでもよくなってた」


「もう、話さなくていいから」


「校長のおかげで卒業はさせてもらった。

監督が熱心に誘ってくれて、
親の薦めでココを受験した。

それで結局、あいつから見たら、
どこでやっても同じって、なってるんだろうな」


「もう十分だよ。
無理して・・・・・・辛い事・・・・・・話さなくてもいいから」


あたしの頭に、桜庭亮の大きな手が乗った

「ありがと。
あの時一滴も涙が出なかった俺の代わりに泣いてくれて」

< 113 / 216 >

この作品をシェア

pagetop