ピンチヒッター
「小さい頃に甲子園で見た学校でさ、
実際、声も掛けてもらってた。
その学校に行くつもりだった。

でも、担任との面談で言われたよ。
別の学校へ行ってくれってな」

「え、なんで!?」

「そう思うよな。
あいつの言い分はこうだった。

俺があいつの言う学校に行けば、
他の部員も一緒に入学させてくれるらしい。
だから、そいつらのためにもそこへ行って欲しいってな。

そいつらとは友達だった。
自力での推薦は微妙なライン。
頭も良くなかった。

でも、俺はどうしても憧れの学校でプレーしたかったんだ。
だから断った。

そしたら担任はこう言ったよ。

どうしても従えないというなら、単位はやれない、ってな」


「そんな、そんなのないよ!
言う事聞かないなら卒業させないってことでしょ?
ひどすぎる!!
もしかして、それで?」


「いや、最初はただの脅しだと思ってた。
だから話は平行線のまま、後日また話そうってことになった。

その後から、俺は担任からの嫌がらせを受けた。
それで気付いたんだ、こいつ本気だなって。

でも譲る気なんてなかった。

だってそうだろ?

いくら担任だからって生徒の希望を無視して、言う事聞かなかったら卒業させないっておかしいに決まってる!」

桜庭亮は悔しさを噛み締めるように言った。

「次の面談の時、
俺はどうしても憧れの高校に行きたいってことを伝えた。
きちんと話せばわかってくれると思ってた。

でも、あいつはこう言いやがった。

野球なんか、どこでやっても同じだろ?って。

結局、それが引き金だったよ」
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