ピンチヒッター
「チア部の皆さんですよね?
今日はお疲れ様でした」

長谷川先輩が来てくれた

「あ、長谷川先輩、お疲れ様です」

「あの、藤原さん。部長さんって誰かな?」

「はい、あたしです」
後ろから美歩がやってきた

「野球部を代表してお礼を言わせてください。
今日は本当に、応援ありがとうございました」

長谷川先輩は美歩に向かって深々と頭を下げた

「いや、止めてください。
感謝したいのはあたし達の方なんです。いつも野球部には勇気をもらってますから」

「勇気だなんて、そんな。
うちはまだまだですよ。
今日の結果だってチア部の皆さんのおかげなんですから」

「そんなことないです!
あたし達は応援しかできないし、今日の結果は野球部の実力ですよ」

「いやいや、スタンドから女の子の声が聞こえるってだけで結構違うものなんです。
だから、チア部を作ってくれたこと、本当に感謝してるんです」


二人とも正直な気持ちなんだろうけど、この謙遜

内容は違うけど主婦の立ち話に聞こえるのはあたしだけ?

そう思うと笑いそうになるのは不謹慎だよね


「そこまで言っていただけるなら、あたし達としても嬉しいんですけど・・・・・・
あの~、敬語やめてもらえますか?」

美歩は少し気まずそうに言った

「え、でも私二年ですよ?」

長谷川先輩は不思議そうに美歩を見た


・・・・・・

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