COLORS【橙】パッション☆オレンジ
オレンジのオ
 「なに~っ!再婚っ!」

それは日曜日の昼下がりの午後だった──。

初夏と呼べる季節なのに、半袖だと少し肌寒くて。
こんな陽気は着る物に困る。
そんな苛立ちも父さんの一言で一気に吹っ飛んだ。

「あのなぁ~!いい加減にしろ!これで結婚、三回目だぞ!!」
そして新たに沸き起こる苛立ち。
少子化と言われている昨今、結婚しない(できない?)男女が増えているってのに……。
一人で三回も結婚をするやつってどうよ!?

因みに一回目の結婚で俺が生まれ、二回目の結婚では子供は居なかった。最初の母さんは心臓が弱かったらしく、俺が五歳の時に亡くなった。
次の母さんは俺が中三の時に、他で愛人を作り家を出ていってしまった。

世の中にはこんな不幸な家庭もあるってことを忘れちゃいけない。

「希(のぞむ)~っ!やっと父さんにも春が来たんだよぅ」

何回、春が来りゃ気が済むんだ!

「甘えてもダメだ!いいか!俺は絶対に反対だ!今更、母さんなんていらないよ」

また……不幸なことにならないとも限らない。もう悲しい思いはしたくない──。そして、何より父さんの悲しい顔を見たくない。

「今度はお前にキョウダイができるんだぞ」

「キョウダイ?」

「喜べ!お前と同じ十七歳の高校二年生、『女の子』だそうだ……名前は確か……」

俺の心境は少しだけ複雑だった。

何故なら独りっ子の俺は、

ずっとキョウダイと言うものに憧れていたから……例えそれが兄でも姉でも弟、妹でも。

「そうそう!香月蜜柑!(かずきみかん)蜜柑ちゃんだ!」

その三秒後に、俺は父さんの再婚に同意してしまっていた。
< 1 / 15 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop