うしろの猫
わたし、驚いて早智子ちゃんの方を見たら、早智子ちゃんも、わたしの方を見て言ったのよ、「いまの、聞こえた・・・?」て。


わたし無言でうなずいたら、また聞こえてきたの。


誰かの悲鳴が!


何度も、何度も・・・


その悲鳴を聞いたのは、わたしと早智子ちゃんだけじゃなかったのね。


本道を使って帰ってきていた、学校の子達も何人か一緒に聞いていたのよ。


みんな、お互い顔を見合わせて「なに?なに?」て、感じで話していたわ。


でも、誰も悲鳴のする裏道を見に行く人はいないのよ。


当たり前だよね、その悲鳴は恐ろしい叫び声だったから。


みんな、その場に立ち止まり、悲鳴のしてくる裏道の方を見ているだけなの。

わたしも、早智子ちゃんもね・・・


しばらくしたら、悲鳴は聞こえなくなったの。


その場にいた大人の人達が、携帯で警察に連絡して慌てていいたけど。


なぜか、子供達は何事も無かったように、笑顔で家に帰っていくのよ?


悲鳴が聞こえていた時は、すごく怯えていた早智子ちゃんまで、


わたしの手を取り笑顔で帰ろうって言うの?


大人は、不安と怯えた顔をしているのに、子供達だけ笑顔なのよ・・・?


わたし、早智子ちゃんに手を引っ張られながら歩き出だしたら。


悲鳴がしていた、裏道の方から一瞬聞こえたの。


「にゃ~」て、猫の泣き声が・・・


わたし、立ち止まり裏道の方を振り向いて見たのね。


早智子ちゃんが「どうしたの?」て、わたしに聞いたから。

「ねぇ、早智子ちゃん。いま猫の鳴き声聞こえなかった?」

そう、言ったんだけど早智子ちゃんには、猫の鳴き声は聞こえなかったよ?


わたし、そのまま裏道を見つめていたら、その裏道の方から何かが来る気配を感じたのよ。


何かが、裏道を駆け下りてくるような気配を・・・
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