雨夜の月

‥灰色の世界‥

千里の家での初お泊まりは、意外に悲しい出来事が道連れになった。


まだ大丈夫。

まだ『友達』やれる…だなんて、何様だった私。




一番辛い結果になってしまった。

千里は私たちの会話を知らず、良いプレゼントをしたと思っている。


泣きそうだったが、それもできなかった。




翌日、千里のバイトの時間に自宅へ戻った。


秋の空は雲ひとつなく、真っ青で清々しく…なのに私は灰色の世界にいた。


千里は嵐と連絡が取れる。
私は、嵐の携帯番号やアドレスを知らない。


知りたいと思ってきたのに、今は知らないことが救いだ。


一瞬近くに感じた嵐なのに、追うことさえできない。




『学校行くの嫌だな』




この土日の休みで、私はそんな風に考えていた。



日曜日の夜。

千里から電話がかかってきた。


「美月?ちょっと待ってね」


受話器から雑音が聞こえる。


「もしもし?」



耳の向こうで、嵐が話しかけていた。


「え?嵐?」

「おう!!」

「何なの…?」


状況が上手く飲み込めなくて、無愛想になる。

「お前の携帯知らねーから、千里の家まで来たって」

「何言ってんの?」

「あれから、気になって…学校来いよ」



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