Princessの掟




車の中ではやっぱり無言。 


でも無言も悪くないなって思った。 


なんかまた眠くなってきた。 


でも寝ちゃだめ! 


寝ちゃ…… 



自分と眠気と戦っていたけど、眠気に負けてしまった。 


そんな光景を奴が見ていたなんて気持ち良さそうに寝てた私は知らない。 



「寝顔もかわいいじゃん。」



もちろん、奴が言った言葉も知らない。 



―――――


「百合亜。百合亜!」



本日2度目。 


私は目を開けると見慣れた景色。 



「もう着いたけど。」


「嘘!?また寝てた。」


「それはそれは気持ち良さそうに。」



皮肉たっぷりに言われた。私が悪いから何も言えないけど……。 


やっぱりムカつく! 



「降りないの?」


「言われなくても降りるわよ。」


そういうと、運転手さんが開けたドアから外に出た。 


車が走りだす時 


「今日はありがとう」


口パクで奴に言った。 
なんて言ったか通じたかは分かんないけど、奴は手挙げてきた。 


きっと返事の代わりなんだと思う。 



私は車が見えなくなると家に入った。 


「おかえりなさいませ。」


「ただいま。」



そして私の初デートは幕を下ろした。 




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