あたしの執事
歩き出したあたしを引っ張った玲。


「いいよ、行かなくて。雪子サマにはもう俺から伝えといたし」

「え…じゃあ、なんで」

「2人になる為の口実。それより千秋、今日泊まるでしょ?ここ。んで添い寝してよ」


思わず語尾にハートがつきそうなほど甘い玲の口調に、赤面する。だが、急いで我を取り戻し、きっぱりと断る。


「泊まるのはいいけど、別室にしてもらうし添い寝も嫌」

「えー千秋意地悪ーい」

「意地悪くて結構」


そう言って玲に微笑む。玲は不機嫌極まりない顔を、あたしに向けると、いきなり腕を引っ張った。


「たまにはさ、千秋からキスしてよ」

「なんっで…いきなりそうなんの」

「1回もしてもらったことないし。どうしても嫌だっつーなら…ま、しょうがないか」
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