あたしの執事
にこっと笑った玲。嫌な予感だけが、あたしの背中を走る。


「俺からしてあげる」


予感は的中。その瞬間塞がれた唇。

…繋がっているのはほんの1部分だけなのに、どうしてこんなにも熱を帯びるのだろう。


「…ん…っ」


普段よりずっと長いキス。

息も持たなくて苦しいはずなのに、落ち着いていられるのはやっぱり玲だからなのかもしれない…


「ごちそうサマ」

「何がごちそうサマよ。こっちの身にもなってよね」


ふんっと怒るあたしに、また不意打ちでキスをする玲。

あたしは溜め息をつきながらも、ふっと笑う。この安らかな時間がずっと続くことを願った。
< 126 / 134 >

この作品をシェア

pagetop