あたしの執事

可能性に賭けて

叔母さんがサンフランシスコに行ってから一週間が経った。

移植の件について一切触れようとしない玲。自分の命が救えるかもしれないというのに…


「ハイ、これアンタの好きなプリン」


差し出した瞬間、袋が潰れたような音がする。まあ中身には何も問題ないが…

玲が好きな洋菓子堂のプリンは、甘みが少なく、普通のプリンの何倍も柔らかいというとてつもなく凝ったプリンだった。

さすがはお金持ち。選ぶべきものが違う…と感心するあたし。


「それ甘くないよね。美味しいの?」


目を細めながら尋ねる。コーヒー味のものだと容易に想像されるそのプリンは、部屋中にコーヒーの独特な匂いを充満させていた。


「まあね。つか美味しくなかったら普通に食べないでしょ。…あ、もしかして千秋欲しいの?」

「違うから。あたしはもっと甘いのがいい」

「まったまた~欲しいんでしょ?ドーゾ」


そう言いながら玲は、あたしの口にスプーンを押し当てる。
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