君にティアラ
『ごめんなさい。しばらく距離を置きたいです』

送信ボタンに指が掛かって。

画面に冷たい、送信完了の文字。

それを見ていたくなくて、あたしは電源ボタンを強く押した。

直ぐにあたしの気持ちと同じで、沈んだ闇が表示されて。

ゆらゆら視界が滲む。

カーテンの隙間から、今にも折れそうな三日月が見えた。

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