Tales of Love
土曜日まであと三日もある。美里は待ち切れない思いで一杯だった。ようやくテルに逢えるかもしれない、そう思うと授業など頭に入らなかった。

帰り道、身支度の準備のため早く帰ろうとしていた美里は公園の前を通り掛かったときに男の子が一人泣いているのを見つけた。

「どうしたの?」

美里は優しく問い詰めた。
「お、お母さん五時に迎えに来るって言ったのにこないの」

五時といっても五時まであ十五分もある。

「大丈夫!もう少しでお母さん迎えに来るから」

「本当?」

「うん!それまで一緒にいてあげる」

「ありがとうオバさん!」

「オバ…私はまだ高校生です。ほらあそこに座ろう」

美里が鞄の中に入っていたお菓子をあげると子供は喜んで食べ始めた。

「いい?もう泣いちゃダメだよ!」

「どうして?」

「お姉さんもね、好きな人がいなくなっちゃって泣いてばかりだったの、でもある日夢の中で泣いてばかりじゃダメだって言われたの、それからはもう泣かないって決めたの」

「その人今どこにいるの?」

「わからないんだ、でもね、もしかしたらA県かB県にいるかもしれないの、だから今度の土曜日探しに行くんだ!」

「わかった、僕もう泣かないよ!」

「うん、頑張るんだよ!」

その時少年の母親が迎えに来た。

「あっ!ママだ、じゃあねオバさん!」

「だからオバさんじゃないってば!」

少年は勢いよく母親の元へ走って行った。母親は美里に一礼をすると、少年と手を繋いで去って行った。
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