Bloody Kiss
怠そうなのと、血色が悪いのはいつものこと。他にいつもと違うところは見当たらないし、特に辛そうというわけでもない。
別に恢の言葉を疑っていたわけではないけど、本当にもう大丈夫なようだ。

「アリア」

恢の状態を観察していると、不審な目を向けられた。

「えっ?」

何故こんな目を向けられているのだろう。いつもはガン見しても軽く受け流すのに……。

あっ、そっか。

いつもの私なら、迷わずに恢の隣に座る。今日はそうしないから、変に思ってるんだ。

不審な目を向けられる理由がわかり、いつものように恢の隣に移動する。
つもりだった。

「あ、あれ?」

足が、動かない。

恢に近付きたいのに、足が床に縫いつけられたみたいにびくともしない。

『バケモノこそが吸血鬼の血を喰らった人間の末路』

トーマの言葉が甦る。

それが引き金となって昨日の記憶が襲ってくる。

『キミハ美味ソウダ』

私を捕らえる紅い眼。

『ごめん』

血を欲する紅い眼。

鋭い痛み。
血の臭い。
血の紅。

紅、紅、紅……。



『元人間の吸血鬼は全てバケモノに堕ちる。どんなに抗おうとその運命からは逃げられない』



逃げられない、運命。


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