Bloody Kiss
「さて、書庫へ行きますか」

食事の後片付けを終わらせて、鍵を手に取る。
以前恢から書庫の場所を聞いたことがある。が、聞いただけで入ったことはないためどの部屋だったか定かではない。確か一階の端だったような……。

朧気な記憶を頼りに書庫を探して屋敷内を歩き回る。相変わらず広い屋敷だ。
ここで暮らしはじめて間もない頃、この屋敷について聞いたことがある。狩人は仕事で家を空けることが多く、集団で生活するケースが多いらしい。昔はこの屋敷にも数世帯が暮らしていたそうだが、今はもう誰も住んでいない。

「恢はずっとここで暮らしていたのかな?」

こんな広い屋敷で、ずっと一人で……?
寂しくはなかったんだろうか……。

ふと窓の外の風景が目に入った。一階だからということもあるが、見えるものは木だけだ。周囲に家はない。
この屋敷は山の奥にあって、同じ街の人間でも近付く人はいない。古い外観と、住んでいる人を見掛けないということから子供達は幽霊屋敷と呼んでいた。私も子供の頃は他の子と同じように幽霊屋敷と呼んでいた場所。まさかここで暮らす日が来るとは思っていなかったな。

「こんなことしてる場合じゃなかった」

ぶんぶんと首を振って当初の目的である書庫探しに戻った。
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