拝啓、ばあちゃん【短編】
ばあちゃんの家を出たと同時に、武士からの電話が鳴った。


「もうみんな集まってるから、早く来いよ」


浮かれた声で話す武士に何となく苛つきながら、「分かった」とだけ言い、電話を切った。


もう夕方だというのに、鬱陶しいほど照りつける太陽。


俺は自転車にまたがり、ペダルに力をこめた。


肌にまとわりつく熱気も、こんな気持ちも、何もかもを振り切るように。


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