夢来い
夢来い
俺は昔、珍しい夢を見た。


いまでも、鮮明ではないが、覚えている。


俺は昔から、
恋だとか、
好きな人だとか、
付き合うだとか、
彼女だとか、
そうゆうのに
全く興味が無かった。



そんな俺が
女と手をつないで、楽しそうにデートしている夢を見たんだ。


一瞬、自分を疑った。



俺がなんでこんな夢を…?





でも、俺は
すごく楽しそうで、
幸せそうだった。


―ずっとこのまま目が覚めなくてもいいや―

そんな事を思ってしまったんだ。


昔だし、夢だし、
俺は女の顔を
あまり覚えていない。
でも、
笑顔が可愛いのは覚えている。



でも、
もう1度、あの夢を見たいー…。
あまり認めたくないが、
そう願っている俺。





そしてある日、
俺の願いは叶った。


見たんだ。
あの夢をー…。


夢の中では女が可愛い笑顔で俺と話している。


目覚ましが鳴り、
俺は夢から現実へともどされた。



嬉しかった。
楽しかった。
幸せだった。
懐かしかった。



女の顔はハッキリどんな顔だったか覚えていない。


そして
俺はこんなことまで願ってしまった。

―会いたい―


叶うハズがないのに。
それに、実際に存在しているかもわからないのに。




「行ってきます。」
俺は学校へと家を出た。


いつもなら、少し寄り道して行く俺だけど、今日はそのまま学校に行くことにした。

そういう気分だった。
そうした方がいい気がした。





しばらくすると、信号が見えた。

信号の色は青―…。
あそこの信号は青になる時間が長い。



俺は走って信号へと向かった。




あそこの曲がり角をとおればすぐだ。



信号の青が点滅し始めた。
「ハァハァ」


曲がり角を通った、その時―…!!


ドンッ!

「うおっ!!」
「きゃっ!!」


俺は誰かとぶつかった。
ぶちかったのは普通の女の子。

「す、すいませ…」
女の子の口が止まった。
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