月と太陽の事件簿4/卒業までに解く問題
が、あるメーカーの自動販売機が見えてくると、その前で足を止めて、缶コーヒーを1本買った。

達郎兄ちゃんは缶コーヒーを手にしたまま動かなくなった。

聞いた話だと、達郎兄ちゃんには変な癖があるらしい。

推理をする時、必ず缶コーヒーを手にするのだそうだ。

なんでも初めて事件を解決した時たまたま缶コーヒーを手にしていたそうで、それ以来癖になっているらしい。

あたしはしばらく達郎兄ちゃんの横顔を眺めていた。

やがて乾いた音がした。

達郎兄ちゃんが缶コーヒーを開けた音だった。

そのまま一気に飲み干すと、軽く息を吐いた。

答えは出たのか。あたしは訊きたくなった。
「達郎兄ちゃ…」

呼び掛けたその時。


ぱしゃん


頭に軽い何かが当たり、小さな衝撃が走った。

次の瞬間、冷たいものが体を流れ落ちる。

あたしを見る達郎兄ちゃんの目が大きく見開かれた。

頭に水風船が当たって、全身が濡れたとわかるのにそう時間はかからなかった。

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