紺色の海、緋色の空
僕たちは荘厳に鳴り響くヨークミンスターのパイプオルガンと美しいステンドグラスに時を忘れ、中世の街並みをそのまま残すシャンブルズ通りを歩いた。

「ねえ、写真撮らない?」

とシロナが言った。

僕が頷くと、シロナは通りの一角で売っていた使い捨てのカメラを買い、石畳の真ん中に僕を立たせた。

そのままシャッターが切られるのを待っていると、「ポーズは?」とシロナが面白くなさそうに言った。

「無理だよ」と答えると、シロナは私が手本を見せてあげると言ってカメラを僕に投げてよこした。

カメラを向けると、シロナは満面の笑みで四肢を広げてみせた。

「ちゃんと撮ってよ」とシロナが言った。

「ああ」

と頼りない返事を返すと、ふくれっ面で威嚇された。

僕は苦笑いしながらシャッターを押した。

一枚、また一枚。

ファインダー越しに見る彼女はとても楽しげで、まるで水を得た魚のように生き生きとしていた。

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