恋のSEASON
どうやら道を横切りたいっぽいけど、タイミングを掴めずにいるみたい。


助けよう。


と、歩きだしたらアパートから背の高い人が出てきた。




あ・・・冬矢先輩だ。




冬矢先輩はさらっと車の流れを止めて、おばあさんを渡らせた。





お礼をすると言うおばあさんにもいりませんよ、と軽くかわしていた。





ああいうところかもしれない。
冬矢先輩の人気の秘密。
そんなことを考えつつ、ただ立っていたら冬矢先輩に見付かった。





―・・・最悪。





「あ!マヒルちゃん!」



「こんにちは。先輩がたは四時間なんですよね。」




私服の冬矢先輩はかなり大人っぽい。なんか色気ムンムン。




さりげなく帰ろうとしたら、
冬矢先輩に腕を掴まれた。

い、痛い。


「な、なにか?」



「ん?マヒルちゃんはかわいいなって。僕たちの家来る?」



「遠慮いたします。」



「それは残念だな~。じゃあ、こう見えて忙しいんだ。また今度遊ぼう!バイバイ!」





冬矢先輩は手を大きく振りながら走って消えて言った。








冬矢先輩の人気納得。


マイペースなところがあるし、かなりバカだとも思う。これは変わらない。


でも、優しいのね。

甘い言葉を吐くだけじゃない。そこにはきっと優しさが見え隠れしてるに違いない。

さっきのおばあさんを助けたのだって、私が見てたのわかってたはずなのに、自慢じみた事は何一つ言わない。

軟派だけど、多分人のことわかってるんだろう。春の軟派さとはまた違うんだ。


あいつはワガママ王子って感じだし。夏樹くんは冬矢先輩みたいに人のことはわかってるんだろうけど、寡黙のせいでわかってもらってないのかも。もしくは私の知らない何かがあるのか・・・。
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