恋のSEASON

潮風と香り

Side 夏樹



今日は日曜。
マヒルとデートの日だ。



昨日から心臓バグバグだ。
なんて・・・マヒルには悟られてはいけない。

だってカッコ悪いだろうが。



「おーい!夏樹くーん!」



約束の10時半ジャスト。
一階の通路の奥から、マヒルが大きなバスケットを持って現れた。



私服のマヒル・・・初めて見た。



ケミカル加工の色の薄いジーンズをロールアップし、白のベルト。上は白と紺のボーダーに赤の細いボーダーが入ったマリン系の七分丈のTシャツに黒いベストを合わせている。首からは碇のネックレスをさげて、足元はヒールの高いオープントゥの白いパンプス。



制服とはまったく違う雰囲気にドキッとしてしまう。今からこんなんで大丈夫だろうか。



「夏樹くん?」



下から俺を見上げるマヒル。
ヒールのせいか・・・いつもよりも顔が近い。ヤバイから。



「ごめん。ぼーっとしてた。」



顔が近くてドキドキしてた。



「そんなに待った?ごめんね。」



潤んだ瞳で俺を見ないでくれ!



理性くんが壊れるから・・・。



「違うから大丈夫。じゃあ行こうか。」



俺はマヒルの手からバスケットを奪い、反対の手でマヒルの手を握った。


・・・よかった。
マヒルも握り返してくれた。



「マヒル、私服だと雰囲気違う。」



「今日はかなり頑張ったからね。」



それ・・・俺は自惚れてもいいんだろうか。マヒルのことだから、天然か。



「そっか。」



「反応薄いー。」



しまった・・・。
俺、かなりテンパってる。

でも悟られない自信はあるけど。




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