only one


「あーあー。
せっかくの料理台無しにしちゃって…
マスター怒っちゃうよー。」


部屋の入り口にはトレーがひっくり返っている。

マツさんは何もなかったかのように私と彰人さんに一度視線を向けて、そのトレーを片付けるとごゆっくりと言葉を残して部屋を出て行った。



「アイツ…」


すぐ近くで響く彰人さんの呟くような声に私は体をビクリと弾ませた。


彰人さんにもたれ掛かるような姿勢。


私の肩には彼の掌が触れている。



近すぎる…


体が熱い…



体中の血液が全て頭に集まったかのようにボーっと呆けている私に彰人さんは参ったなと呟いて頭をガシガシとかきだした。


そして私の耳元に唇を寄せて


好きだ。


そう囁いた。








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