only one
「ちょっとは頭を冷やせ!」
鍵を閉めても無駄だとわかっていた。
モニター室の鍵は彰人も持っている。
ベッドに近づく足音。
俺はベッドに体を投げ出したまま彰人に背中を向けた。
「さっき話したのは表向きの話だ。
魁夢を欺くために用意したシナリオ。
遥夢はこの屋敷では春香の代わりの養女として引き取る。
旦那様のお慰めの為と組の者には話した。
何よりそれが一番だと思うからだ。
春香の生き写しのような遥夢の姿を利用しない手はないだろう?」
矢継ぎ早に話をされて俺の頭は整理がつかなかった。
つぅか…
紛らわしいじゃねぇか!
金だの後妻だの…
迷わせるような話してんじゃねぇよ!
「聞いているのか?!
マツ。」
肩を掴まれ体を仰向けにされた俺を覗き込む彰人の不安そうな表情。
「ぷっ…
お前なんて顔してるんだ?」
俺はケラケラと声をたてて笑ってやった。
困惑する彰人を笑い飛ばしてやった。