only one
恐怖なのか悲しみなのか感情が爆発したように泣き叫ぶ私に大男はまだ首から滴り落ちる血を撒き散らしながら頭部を持ったまま私に近づいてきた。
そして私の頭の上でユラユラと揺らしながら言ったんだ。
「大事なマツの体にも逢いてぇだろ?」
頭の上から落ちてくる真っ赤な血液。
前髪を伝って落ちてきた血液が頬を濡らした。
震えを抑えたくて両肩を自分の手で押さえ込んで見上げたその頭の顔はマツのものだった。
瞳を閉じていても間違いなくその顔はマツだったんだ。