【奏】ミントチョコレート
「あっ…おまっ…ずるいぞ」


「へっへーんだ」


「ちっ…じゃあこれならどうだ」


「あっズルい〜

女子なんだからちょっとは手加減しろ〜」


「最初にズルしたのは光石だろ」


ゲームに白熱するとますます身近に感じれるけど
いまだ光石のままで…


「あーぁ」


そう言いながら背に持たれたベットに頭を預け
天井を仰いだ。



「あっ…もうこんな時間」


「あぁ…だな」



視界に入った時計は

気付けば終電なんか

とっくに出てる時間をさしてて…


一駅ぐらいだからどうって事ない距離だけど

「…帰るの面倒くさい」


そう呟いた。



「あぁ…じゃあ泊まるか?」


「うん」


いつもフジモの家で雑魚寝してるし、1つのベットに2人で入っても
メンバーの誰かとそういう雰囲気にすらなった事ない。



それってどうよ?ってぐらい
完璧に女として見られてないって事で
でも、私もそういう風に皆を見た事ないから
ちょっと自信失くすけど、そういうもんだと思ってた。




「じゃあ、光石ベット使って?」



キョトンと岩瀬君を見つめると…




岩瀬君のアパートには他に布団がないらしく

一緒の布団で寝るのを拒絶され

どちらが床で寝るか揉めに揉めた


床で寝るにはまだ肌寒くて


どちらも融通が聞かなくて

帰る帰らないだの

寝る寝ないだので

押し問答になった。



「もうさ、いつも雑魚寝してるんだし、私とじゃそんな気にもなんないでしょーが」



自分で言ってちょっと虚しくなるけど、それが事実。



「はぁ?!
もういい」


逆ギレのまま岩瀬君は壁側に向き
私に背を向けたまま
ベットに入り

人1人分のスペースは私に入っていいって事で…。




そこにすっぽり入ると、岩瀬君の背中に一瞬、視線を向けた後
天井を見るように仰向けに寝転がった。





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