孤高の狼に捧ぐ恋唄
第五章

伸ばした手



そっと月が離れて、私の瞳を覗き込んだ。



私の瞳は涙が溢れていて。



月はそっと、涙を指で撫でてくれた。



「……泣くなよ」



少し笑って言う月に、私はまた涙が溢れて。



仕方ないな、と言った月は私の肩を引き寄せた。



私は少し寄りかかり、瞳を閉じる。



心がふわりと広がるのを感じながら、私は口元をほころばせた。


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