愛した名前


「バドミントンできるようになっても、ずっと傍にいてくれる?」


私、思うんだ。


バドミントンができなくなった代わりに、神様はけいという存在を私に与えてくれた。


でも、バドミントンが私のところに戻ってきたら・・・




けいはどこかに行っちゃうんじゃないかな?って・・・。


2つの幸せは、私には与えてくれないんじゃないかな?って・・・。




そんなことを思う私を見透かすように、けいはそっと笑って言ってくれた。


「俺は、さきが必要としてくれる限り、ずっと傍にいるよ?俺、さきがバドミントンして、笑ってるの見るのが、一番好きだから・・・、だから、早く足なおせよな」


そう言っておでこをつつかれた。


「さきって漢字、どう書くんだっけ?」


けいは思い出させるように聞いてきた。


「・・・羽に、輝くで、羽輝(さき)・・・」


「さきはバドミントンやるべき人なんだよな。さきが打つ羽は、いつも輝いてたから。そして、さきはずっと俺の傍にいなくちゃいけない義務がある。」


そう言って偉そうに笑うけいが愛しく思えた。


「けいぃ~大好きぃ」


何故か出てきた涙を拭きながら言った。


けいの傍にいると、泣いてばかり。


でも、悲しいことばかりじゃ、ないんだよね・・・。







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