俺だけの愛しい妹
家に入ったのは、もう夜の10時回っていた。
あたしは結構遅くなったのを、お兄ちゃんに謝ろうと、お兄ちゃんの部屋をノックした。
「お兄ちゃん?」
中からの返事はない。
寝ちゃったかな。
あたしはもう一度だけノックをした。
やはり、返事はない。
寝ちゃったか。
そう思って、自分の部屋へ行こうとしたときだった。
静かに開いたお兄ちゃんの部屋のドア。
あたしはノブを引いて、中に入った。
お兄ちゃんはあたしから背を向けて、立っている。
「お兄ちゃん、ごめんね。今日、こんなに遅くになると思わなくて」
謝罪をするあたし。
しかし、お兄ちゃんはただ立っているだけで、なにも反応がない。
「お兄ちゃん?」
やっぱ、怒ってるよね……
あたしが部屋から出て行こうとしたときだった。
強く掴まれた腕。
「結菜……」
小さく呟かれた、あたしの名前。
お兄ちゃん?
なんか、いつもと違う。