俺だけの愛しい妹

制服に着替え、下へとおりていく。

『いつも』とかわらない風景があった。

おいしそうな朝食。

「ほら、座って」

いつものお兄ちゃん。

まるで、なにもなかったような接し方。

昨日のことが夢のように思えてくる。


あたしはお兄ちゃんの向かい側に座った。

「いっぱい食べて、元気つけろよ」

お決まりの言葉。

「う、うん」

静かに頷く。

朝食を口に運ぶときだった、

「今日は、ちゃんと学校生活送るんだよ。普通にね」

止まる手。

優しく言われる言葉。

昨日の台詞が蘇る。


『このことは、誰にも言っちゃ駄目だよ。言ったら、お仕置きだから』


そのことを言っているんだ。

言ったら、待っているのは“お仕置き”という恐怖だけ。

また震えだす体。


目の前には、笑顔のお兄ちゃん―――――……


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