俺だけの愛しい妹

床に流れ出る赤黒い血。

散乱しら雑誌。

田口は……割れた食器で腕を切っていた。


「俺だけの結菜だ。俺以外誰にも触れさせない」



ゆらゆらと、田口へと近づく。

包丁が不気味に揺れる。


「彼氏なら、彼女が喜ぶことをしろよっ!!」

「結菜は喜んでる。笑ってる」

もう狂っている。

「俺と結菜だけの関係。誰にも邪魔させない。部外者は―――」





「消去」





振りかざされた包丁。

ドスッ、と鈍い音が鳴った。


赤黒い液体が、床に広がっていく。

体から突き出る包丁。



「結、菜……?」


拓哉が小さく呟いた。



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