俺だけの愛しい妹

消した、って……殺した、ってこと?

そんな……

嘘だよ。

「嘘だよ、ね?」

「嘘じゃないよ。全部結菜のため」


どうして?

なんで??


あたしは数年間、殺人鬼と二人きりで過ごしていた。

お父さんとお母さんを殺したのは、コイツ。


「なに泣いてるの?嬉し泣き??」

狂ってる。

人間じゃない。


あたしは包丁を止める力を強くした。

そして……



お兄ちゃんを刺した―――――……




ドサッ、と床に倒れこむお兄ちゃん。

ジワジワと服を染めていく赤黒い血。



「どうして?」そう目で訴えていた。



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