君ヲ想ウ
いや
静かだったかどうかは定かでない
まるで古い映画のように
僕の記憶には音がなくて
ただ
舞い落ちる葉の赤や黄だけを
今も鮮明に覚えている
それはとても美しい画で
あの一瞬を
僕は生涯忘れることはないだろう
「誰も、誰かとわかり合うことなんてできないのよ。」
そっと、諭すように言った彼女の言葉は
哀しい響きを持っていて
それが現実だとしても
あのときの僕には
否定にしか聞こえなかったんだ