わがままモデル王子は危険な香り
王子が私の腰に手をまわした

王子は嬉しそうにニヤニヤと笑っている

「じゃ、付き合ってくれる?」

「桜嗣こそ、私でいいの?」

「俺は莉緒じゃなきゃ嫌だ」

嬉しい

桜嗣の言葉が嬉しくて、自然と笑みが広がっていく

「でも事務所が厳しいんだ
ごめん
社長は莉緒となら寛容なんだけど……戸倉とか、新城が…な
だから堂々とは付き合えない
でも莉緒と離れるのは嫌なんだ
莉緒とつながっているものが欲しい」

「うん」

私は頷いた

桜嗣もいろいろ事情がある
だから、堂々と付き合えないのもわかる

私も王子のイメージダウンになるようなことはしたくない

王子がつらいと思うようなことはしたくないから

「俺、部屋に戻る
戸倉が五月蠅いと思うから」

王子がさびしそうに笑った

「あと、メールしていい?」

王子が質問した
私は頷くと、王子から離れた

「今日のスーツ、すごく可愛いよ
本当は脱がしたいんだけど……ね」

王子はウインクすると廊下を歩き始めた

裸足で歩く王子の背中を見送ってから私はエレベータに乗った
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