初恋
新しい環境
「かりーん!!急ぎなさいよー!!」
遠くから聞こえるでっかい声はお母さんだ。
「わかってるよ~」
「転校初日から遅刻とかやめてねー」
「はいはい。じゃあいってきま~す!!」


短いスカートをはいて、いかにもギャルっぽい格好をしてわたしはここに立っていた。
いっきにそそがれる視線。
担任が言う。
「中川香梨さんです。今日からみんなと同じくらすになったのよ。仲良くしてあげてね。」
教室がいっきにうるさくなった。


わたし、中川香梨。中学校1年生。親の仕事の都合で、神奈川の横浜から、この長野県のド田舎に引っ越してきた。
これで、転校は6回目。みんなからの痛いほどの視線はもう慣れてる。


机に座っていたわたしにだれかが話掛けてきた。
「かりんってドコから来たの??」
はぁ?!いきなりよびすて?!

「横浜。」

わたしはぶっきらぼうに答えた。

「ぇえ?!ヨコハマ?!すごーい!!!!」

そんなに驚くことかぁ??

するとその少女は大きな声で言った。

「みんなぁ!!かりんってヨコハマから来たんだって!!!!!」


おいおい。勘弁してくれよ・・・。

するといっせいにクラス中のやつらがかりんの机のまわりに走ってきた。

「ヨコハマってどんなとこなん??」

「ヨコハマの学校ってどんな感じなん??」

「デズニーランド行ったことあるん??」


次々と出される質問。
うっとうしくてたまらない。

「キーンコーンカーンコーン。。」

ナイスタイミングでチャイムが鳴った。

「みんな席につけー」

担任が言った。






まったくとんだところに転校してきたもんだ。
いきなり呼び捨てだし。
デリカシーのかけらもない。
自分にはまったくと言っていいほど合わない。

こんなド田舎でやっていけるのだろうか・・・



かりんは不安を抱えながら、部屋から見える山を見ていた・・・
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