初恋
出会い
五時間目の終わりを告げるチャイムが鳴った。

やっと終わった。
やっと帰れる!!

帰りのホームルームが終わり、下駄箱からくつをとろうとした瞬間。
またたくさんの人に囲まれた。

「かりん!!吹奏楽部に入りなょ!!」

「いや、合唱部に入りなょ!!」

「いやいや、陸上部に入りなょ!!」


なんだ。この小学校は部活なんかあるのか?

「わかった。考えとくよ。」

わたしはそれだけ言い、足早にその場を去った。

本当にデリカシーのないやつらだ。


校門を出ようとすると、担任に声をかけられた。
「ひとりで帰ったらだめだぞ!!この学校は集団登下校が基本だ。」

それだけ言うと、担任は去っていった。

はぁ?!集団登下校??!!
横浜の学校じゃあそんなのやったことねーぞ。


そんなことを思いながら、かりんはしぶしぶ自分の家の地区の人が集まる場所へと向かって行った。

長い列の最後尾に立っていたら、だれかにはなしかけられた。

「かりんちゃんだよね??
あたし、同じクラスの斉藤晴香!!
あたしもかりんちゃんと同じ地区だょ。
よろしくね!!」

長い髪をふたつに結んだかわいらしい子だった。

学校から家までの30分間、はるかからいろんな話を聞いた。
自分も去年、東京から引っ越してきたこと。
ダンス教室に通っていたこと。
合唱部に入っていること。


はるかといると自然に笑えた。
楽しかった。
たぶん、去年まで東京で暮らしていたせいもあるだろう。
長野県、特有のなまりもなく、話しやすかった。

「かりんはなんか部活入らないの??」

「うーん。。。考え中」

「だったら合唱部入りなょ!!たのしいよ?!」

確かに、はるかと一緒だったら楽しそう。。。

「うん!!家にいてもひまだし。合唱部はいってみようかな・・・」

「ほんと??!!やったぁ!!じゃあ明日さっそく入部届けだしにいこう!!」

「うん。わかった!!」

「じゃあまたね!!」







今思えば、このとき合唱部に入っていて本当によかったと思う。
もしこのときは言っていなければあなたに出会うことはなかった・・・
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