教えて、先生


「華、遅ぇよ。」


数学準備室に入った途端、タバコの匂いと同時に、先生の声が飛んでくる。


なぜか先生は、馴れ馴れしく私の名前を呼び捨てで呼ぶ。


そしてその度、私の胸は音をたてる。


先生に呼び捨てされること、嫌じゃない。


私は先生に、数学の他にも、教えてもらわなくちゃいけない事があるような気がする。


「数学準備室は禁煙ですよ。先生。」


「華が言わなきゃ、他の先生達にみつかんねぇよ。」


今数学準備室には、先生と私の二人だけ。


他の先生は滅多に使わないから、余裕の表情でケラケラ笑う先生。


「そういう問題じゃ…。」


「マジメだね〜。華は。」


「……。」


なんか腹立つ。


そんな先生にゴホゴホとわざとらしく咳をしてやった。


< 5 / 13 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop