教えて、先生
「華、遅ぇよ。」
数学準備室に入った途端、タバコの匂いと同時に、先生の声が飛んでくる。
なぜか先生は、馴れ馴れしく私の名前を呼び捨てで呼ぶ。
そしてその度、私の胸は音をたてる。
先生に呼び捨てされること、嫌じゃない。
私は先生に、数学の他にも、教えてもらわなくちゃいけない事があるような気がする。
「数学準備室は禁煙ですよ。先生。」
「華が言わなきゃ、他の先生達にみつかんねぇよ。」
今数学準備室には、先生と私の二人だけ。
他の先生は滅多に使わないから、余裕の表情でケラケラ笑う先生。
「そういう問題じゃ…。」
「マジメだね〜。華は。」
「……。」
なんか腹立つ。
そんな先生にゴホゴホとわざとらしく咳をしてやった。