合鍵 ~あたしの不愉快な夏休み~
人生の流れの一部として、まず何がしたいか、自分がどうありたいか、の選択があって。

それからそれに必要な学問を学ぶために大学を選ぶってなプロセスがあるはずでしょ。


オレはそういう手順を踏みたいから、あえて学校の言うことは無視して、

自分の人生をどうしたいか、を今いろいろ模索してる。

大学に行かないっていう選択肢もありだって思ってる。


……そういうことに、オレは今の時間を使いたいわけ」


(この人、真剣に言ってるわ)


塔也の目を見て、あたしは初めてそう思った。


「……たとえば、どんなことを模索してるの?」


おずおずと聞くあたしに、塔也は目尻を下げてニコッと笑った。

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