合鍵 ~あたしの不愉快な夏休み~
「ちょっ……付き合おうって、本気?」

「冗談に見える?」

「見える」

「あ、そ」


口の端を片方だけ上げて、ふん、と笑う塔也。


「だって、あたしの一体何が気に入ったの?」

「え?……ああ」


あたしを至近距離で見下ろしたまま、ニッと笑った。


「字がそっくりだから」


……。



あほか。



思わず驚きあきれるあたしに。


「……今日は、体調万全だからな」


そう言ってにっこり笑う塔也の整った顔がゆっくり近づいて、すぅっと影になった……



【完】
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