合鍵 ~あたしの不愉快な夏休み~
「似合うよ」


思わず笑顔で話しかけるあたしに返ってきたのは、不機嫌な表情と冷たい言葉。


「別にあんたに言われたから切ったワケじゃない」

「……」


誰もそんなこと言ってないよ。

この意地っ張り!

プライド野郎!


(こういうのを朝はダメだから、とかで済ますのは反則だよね)


友達なくすよ、ホント。


せっかく昨日の朝はずいぶん柔らかくなってたと思ったのに、1日経ったらこれかい。


あたしから視線をそらして、すましてコーヒーを飲む塔也の横顔をにらみつけながら、ふと気付いた。


(……もしかして、照れてんの?)


きっとそうだ。照れてるんだ。


ぷぷぷ。

素直じゃないやつめ。

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